日頃から当ブログをお読みいただき、誠にありがとうございます。
そして、新年のご挨拶以降なかなか更新できず、誠に申し訳ありません。
読者様には以前にもご挨拶しましたとおり、現在も私事多用の状況が続いており、研究考察になかなか時間を割くことができず、当面は状況を見ながら可能な際にブログの更新をして行きたいと考えております。休載の際は何卒ご理解をお願いいたします。
なお、今後そのような状況下でも、何とか頑張ってメルマガなど予想の方を優先して継続して参ります。
さて、今回は、私のメルマガ読者様からかなりのお便りをいただいたことから、時間を割けない最中ではありますが、お問い合わせの内容にお応えする形で、中山記念と阪急杯の1番人気馬の不可解な凡走について解説したいと思います。
<中山記念>
1番人気9着・ソーヴァリアント
父オルフェーヴル、形相遺伝は母母父の母父と診ています。
ローテ的体力は料的遺伝4.50であり、激走後は中4週程度は必要。
このレースは、昨年はパンサラッサが圧逃劇で快勝、そのままの勢いで臨んだドバイターフを同着でしたが勝利し、今年は同じ中山記念の日程で世界最高賞金レースのサウジカップを制するという大出世を遂げました。
今年このレースに臨んだ4番人気ヒシイグアスは、8か月振りのレースとなりましたが、一昨年の覇者としてこのレース2度目の勝利を挙げ、この両馬は季節・気候的に体調面で好影響があるのかもしれません。
このレースで1番人気に押されたソーヴァリアントですが、チャレンジCを連覇した際に鞍上がG1レースでも通用する趣旨の発言をしたことも後押しとなって人気を集め、過剰人気感もありましたが、レースでは勝負処からの反応が悪いというよりも無いに等しく、ただ周ってきただけのような9着凡走に終わっています。
この不可解な凡走については各方面で様々に推測され、陣営も首を捻っているようであり、馬体重増にその敗因を求めているようですが、最大の敗因は2走前のオールカマーにあると診ます。
このオールカマーは、右後脚骨折による長期休養明けの初戦でしたが、勝負処からズルズルと後退、大差入線後に下馬する結果となり、レース中に心房細動を発症したことが判明しています。
今回はそれ以来の中山コースでしたが、つまり、オールカマーでのレース中の心房細動のアクシデントが「中山コースを走って心臓が苦しくなった」として、ソーヴァリアントにコンプレックスとして記憶されているということになります。
この事例のほかにも、レース中に怪我や故障、転倒したような場合も記憶に残り、コース全体にコンプレックスを抱く場合や、その忌まわしいポイントを通過する際にゆっくり通過したりする現象が起こります。これは平地競争だけではなく、障害競争での飛越にも見られることがあります。
馬はとても臆病で繊細な生物ですので、危険や恐怖の因子はコンプレックスとなって記憶に残ります。
今回のソーヴァリアントは、オールカマーで苦しくなった3~4コーナー中間地点あたりから反応が悪くなり、最後は恐る恐る通過して完走したと診ることができます。
この競争馬のコンプレックスには先天性と後天性があり、今回のようなレース中に生じる事象は後天性となります。
昔から競馬関係者の間では「悪い癖がついた」という表現で認識されていますが、能力を出し切る走りの中で負けたことを認識することで生じるものであり、それは、最後の直線における競り合い等となります。
コンプレックスの対象となった相手と次走以降、同じレースに参戦した場合、陣営が何等の工夫も施さないと本来の能力を発揮できない走りとなってしまいます。
これまでもこのブログで実際のレースでの事象を取り上げてきましたが、ここで改めて整理してみたいと思います。
競争馬が後天的にコンプレックスを受けるケースは以下が挙げられます。
①最後の直線において、競り負けた場合
②最後の直線において、強烈に脇を差された、抜き去られた場合
③最後の直線において、前の馬を追ったが逆に突き放された場合
④最後の4コーナーから決勝点までの間に、危害を加えられた場合
⑤レース中の故障や転倒、競争に影響する急疾患などアクシデントが生じた場合
⑥当歳~デビュー前の育成過程時に刷り込まれた事象
このうち、①~④は競争相手に対して生じるものであり、⑤は特定の場所やシチュエーションに対して生じるものです。
今回のソーヴァリアントは、この整理で言えば⑤に該当する事象と言えます。また、①~④については着順に関係なく、下位の着順にも生じるものです。
馬の記憶は概ね1年程度とされていますが、私の研究では記憶にも種類があり、対戦相手に係る上記の①~④のような記憶は1年程度ですが、⑤や⑥の記憶はそれ以上に刻み込まれる記憶であり長期化します。
(なお、記憶には当然個体差がありますが、9割方の馬はこの概念に当てはまり、残りの1割の馬はコースアクシデントについてコンプレックスを抱かないタイプがいることを申し添えておきます。)
そうして診ると、この概念はソーヴァリアントだけではなく、同じくこのレースに出走していた、2番人気で11着凡走に終わったダノンザキッドにも当てはまることになります。
ダノンザキッドは昨年もこのレースに参戦し、1番人気に押されて7着に終わっていますが、その昨年は皐月賞以来の中山コースとなり、皐月賞では積極的に運びましたが最後の直線でギブアップしてズルズルと後退し15着に終わっています。
こちらは心房細動ではなく、欧州スタイルの馬が小回り中山で積極的に好位付けで運んだことが仇となり、脚への負担が大きく持続させることができなかったものですが、ダノンザキッドとしては、この中山コースでの苦しい走りが記憶され、2年経過する今でもコンプレックスを抱いていることになります。
昨年の中山記念レース後に、鞍上が中山コースへの悪い記憶が残っているという趣旨のコメントを出しており、さすがトップジョッキーだなと思ったものですが、陣営にはこのコメントが記憶されていなかったようで、何と今年も中山記念を使い、大敗凡走した挙句に発走再審査を課され、待望のドバイ旅行?まで無くなってしまうという踏んだり蹴ったりの結果となり、記憶の重要性を痛切に感じていることでしょう。
今回1~2番人気に押された両馬とも中山コースにコンプレックスを抱いていることが最大の敗因であり、私が提唱している血統ペース的には一応の適合を示す範囲であることから、これは敗因ではないと診ます。
<阪急杯>
1番人気7着・グレナディアガーズ
父 Frankel、形相遺伝として影響が強いのは3代母と診ています。
ローテ的体力は料的遺伝4.50であり、激走後は中4週程度は必要。
こちらは春G1高松宮記念へ向かうステップレース的な位置付けですが、このレース好走から本番に繋がるケースは乏しく、G2格上げや1200mへの短縮などテコ入れをしないと、この時期の施行なのに何のためのレースかと問われそうです。
このような批判を知ったかどうかは知りませんが、今年はG1馬グレナディアガーズが参戦、単勝1倍台の圧倒的人気に押されましたが、期待を裏切り7着凡走に終わっています。
この不可解な凡走については様々に推測され、陣営も首を捻っているようであり、内部からは騎乗批判が出ているようですが、敗因は2つあると診ています。
1つ目は、私が提唱している血統ペース不適合であり、私のメルマガでは想定逃げ馬をメイショウチタンに設定した上で、血統ペース適合がズレていることから適合判定Dと評価し、最終評価もヒモ末席としておりましたが、実際のレースでもメイショウチタンが逃げ、評価どおりの走りだったと診ます。
2つ目ですが、近年指摘されることが多くなった、所謂激走反動が生じやすいタイプと診ており、こちらの方が罪が重いと診られる点です。
現在の競馬は外厩で仕上げることが王道になっており、レースの前哨戦を使わず、本番一発ポン使いが目立っています。
ローテ的体力を示す料的遺伝が不足しているタイプであれば、そのような使い方が向いていますが、料的遺伝が豊富なタイプも外厩ポン使いするような傾向があり、現在では勝利の王道になりつつありますが、現在の競走馬の飼い葉の影響により、実は続けてレースを使いたくても使えないという側面があると診ます。
一般的に馬は草食動物と言われますが、草を食べているだけでは生命維持できず、タンパク質を摂取する必要があります。その為、牧草(草と牧草は異なります)や穀類、イモ類、豆類などを摂取する必要があります。
しかし、競走馬の食事である飼い葉は、ルールの範囲内でサプリメントが混合してあり、これを馬は摂取していることは皆さんもご存知のことでしょう。
このサプリメントは人工的に作られた添加物であり、馬という個体種として、生命維持のためには本来摂取する必要が無いものです。そして添加物を摂取することは、馬の身体の中では余計なものが入ることとなり、これを消化吸収するには、馬の身体に大きな負担が掛かっていると考えられます。
競争馬の疾病には様々ありますが、競争馬の3代疾病の一つとされる肺出血及び鼻出血については、競争除外を伴いますし、レース中の心房細動による急失速なども皆さんも良く認識されていると思います。
元JRA獣医師という方のHPで公開されている内容に因れば、肺出血を起こす原因については、栄養価が高い飼い葉の摂取による血圧の変動、高血圧化が指摘されており、実に現役競走馬の9割が高血圧とのことで、そこに、運動によって心臓からの血液量が急増することで、毛細血管が破綻し出血等に繋がるというものです。
競馬で勝つために、より速く走るために、要求されるレベルが高くなっており、調教もハードになっていることは明確ですし、飼い葉も以前より高タンパク、高カロリーを摂取するようなものになっており、そこにサプリメントが配合され、その栄養・機能も多種多様化しています。
このような競走馬を取り巻く環境が、運動誘発性の肺出血、鼻出血、心房細動を発症する競争馬の増加と関わりがあると指摘しています。
この指摘は、競馬のレベルアップに伴い要求レベルが多岐に渡り、また高度になっていることにより、競争馬の身体が悲鳴を挙げているということになります。
馬の傷病と云えば脚元に関わることがクローズアップされてきましたが、近年ではここで述べているような循環器系の疾患が目立っており、脚元よりも目立つ程です。
牝馬ながら日本ダービーを制したウォッカは、鼻出血の持病を抱えながら競争生活を送り、鼻出血が理由で引退となったことは皆さんも良くご記憶のことでしょう。
そして、中山記念で取り上げたソーヴァリアントもオールカマーで心房細動を発症、電撃引退となったエフフォーリアも京都記念で心房細動を発症しています。
中山記念を8か月ぶりの出走で勝利したヒシイグアスもそうですが、一度の激走による負担が大きいことの現れとして、レース後に熱中症のような症状を訴える馬が近年増えていることは皆さんもご存知のことでしょう。
このようなことではコンスタントにレースを使えるはずがなく、一回使われるごとに間隔を空けるのも当然と言えます。最近、有力馬があまりレースを使わない傾向にあるのは、このような背景もあるものと診ます。
この点から診ても、電撃引退したエフフォーリアの有馬記念から京都記念というローテは、料的遺伝の観点からは何の問題もないのですが、循環器系の観点から診るとタフなローテであり、ついに内臓面が悲鳴を上げたということになります。
このエフフォーリアは、3歳で年度代表馬になったものの古馬になってから凡走続きでしたが、自己矛盾を抱える境遇にあり、私は可哀そうに診ていました。
3歳までは成長過程期で露呈しませんでしたが、成長を遂げて4歳になって血統面が表出して成馬古馬になり、レースを使われながら良さが出るという父ロベルト系の血のキャラクターが表面化する一方、高パフォーマンスを発揮するために高サプリメント配合飼い葉を摂取することで循環器系に負荷が掛かってレースを使いたくても使えない、という悪循環に陥っていました。
エフフォーリアが古馬になって活躍するには、飼い葉の内容を変更して内臓負荷を軽減させ、コンスタントにレースに出走できるように体質改善する必要があると診ていましたが、早々に引退させる方が面倒ではなく簡単だったのでしょう。
現在の父ロベルト系の代表種牡馬と云える父エピファネイアの産駒が古馬になってから苦戦を強いられているのは、このような背景が影響しているものと診ます。
話が逸れてしまいましたが、グレナディアガーズも有力陣営だけに御多分に漏れず、一度激走すると凡走が続くタイプであり、朝日杯FS勝利の次の勝利はちょうど一年後の阪神Cであり、その後また凡走が続いて、次の激走はまたも一年後の阪神C2着という状況にあり、今回の阪急杯は阪神Cから2か月のローテとなると、料的遺伝的には問題がないローテも、循環器系的にはタフなローテだったと云えます。
しかも、中間の調教過程もしっかりトレーニングを課されており、調教でも消耗する競争馬にとっては過酷と云えますが、世界を相手に臆することなく強くなった近代日本の走る競走馬の宿命なのかもしれません。
もちろん一頭一頭体力が異なり、内臓面の強弱も異なり、近親配合の弊害を抱えるようなタイプは尚更そもそも体質が弱く、前出の獣医師の内容からすると、現役競走馬でも1割の馬は高血圧ではないということですから、やはり一頭一頭戦績のチェックは入念にならざるを得ません。
ということで、中山記念と阪急杯の一番人気馬の凡走について解説しましたが、考察しながら日本の競走馬が置かれている状況を憂う思いであり、折しも、サウジアラビアでは日本勢が大活躍を披露しましたが、喜んでばかりはいられない・・などと思うのは、おそらく私だけでしょう。
さて、このブログを休載しておりました期間は、メルマガ予想やメディア予想は継続して公開しておりましたが、なかなか噛み合わないことが多く、ご利用いただいている方には、ご迷惑をおかけしていることとなり大変申し訳ございません。
今年に入っても私的事情が長引いておりますが、今年こそ世界平和が訪れることを祈念しながら、頑張って予想や研究に取り組んで行きたいと考えております。
皆様におかれましては、春の足音が聞こえてくる時候ではありますが、感染症対策や健康管理には留意いただき、競馬を楽しんでいただきたいと思います。
メルマガについてはリンクをブログ右側に貼っておりますので、有料となりますがよろしかったらお願いいたします。
今日はここまでです。
(仕事のご依頼はmonaka.sabao.88@gmail.comまでお願い致します)