ここでは、宝塚記念を振り返ってみたいと思います。
宝塚記念
1着・リスグラシュー
父ハーツクライ、形相遺伝として影響が強いのは母と診ています。
ローテ的体力は料的遺伝4.25であり、激走後は中4週程度は必要。
今年も上半期の締めくくりとなる宝塚記念を迎えましたが、今年は例年とは大きく違う点がありました。それは、西日本地方がまだ梅雨入りしていないという異例の気候ということです。
6月下旬に施行時期が移設されたのが2000年ですが、梅雨真っ只中という季節に移行してからは、それまでの堅い決着から一変して荒れる決着が多くなりました。
これはやはり、梅雨時の開催ということで宝塚記念当日が良発表であっても、基本的に馬場が荒れていることが影響していると診ています。
しかし、今年は梅雨入りしていないことにより馬場状態が例年よりも良く、内が少々軟らかく見えましたが、今年の決着タイムは2000年の移設以降では2番目の好タイムとなりました。
勝った本馬は大外枠から意表を突く先行策に出て、逃げるキセキを2番手から大名マークして最後は3馬身差をつける圧勝劇でした。
本馬の形相遺伝の対象である母リリサイドは、現役時は仏伊で11戦5勝という成績であり、重賞勝利はなくマイルのリステッド戦の勝利があるだけです。
しかし、リリサイドの最大の競争実績と言えるのは、仏1000ギニーの1位入線と言えます。レースでは2度の斜行を犯してしまい、1時間を超える審議の末に6着降着処分となりG1勝利を逃しています。
このリリサイドの降着により繰り上がりG1馬となった Special Dutyという馬は、その前走英1000ギニーでも1位入線馬の降着処分により繰り上がりでG1馬となっており、リリサイドと言えば、私の中ではこのラッキーな馬がセットで思い出されます。
ハーツクライ産駒の一般的なイメージからは想像しにくい本馬の今回の走りでしたが、これを可能にしたのは、形相遺伝対象の母リリサイドの系統であるネイティヴダンサー系の血と言えます。
ネイティヴダンサー系と言っても様々なキャラクターがありますが、American Post~ Bering~ Arctic Tern~ Sea-Birdと辿るこの系統はパワーを有する系統であり、小回り急坂コースにも対応可能な系統です。
この系統と言えば、キタサンブラックが引退レースを飾った有馬記念において、牡馬相手に2着に食い込んだクイーンズリングの形相遺伝系統であり、正にこの Bering~ Arctic Tern~ Sea-Birdの系統です。当時配信したメルマガにおいて、隠れ中山巧者として究極の穴馬として評価したことを思い出します。
本馬が香港の洋芝にも難無く対応できているのはこの系統のパワーに由来するものと診ており、牡馬相手にも怯まないパワーを備えて今回の激走を見抜くことができたことは、この系統への着眼も良かったものと自負しております。
そして本馬について、真の距離適性はどこにあるのかという議論があるようです。
本馬の形相遺伝対象のリリサイドはマイル中心の戦績のみであり、長距離での戦績はありません。そこで更にリリサイドの形相遺伝背景について調べてみると、リリサイドの母母の父である Lyphardを形相遺伝対象に持つことがわかります。
Lyphardは血統に詳しくない方でも知っているぐらいの知名度がある馬ですが、ムーランドロンシャン賞やジャックルマロワ賞といったマイルG1の勝利がある一方、2100m戦での勝利もあります。
更にこの Lyphardを調べると、12F戦のレイディーズHの勝利がある Goofedに辿り着きます。
このように形相遺伝対象を遡って診てみると、本馬の距離適性については、マイルから2400m程度の幅広い距離を守備範囲とするタイプであることがわかり、昨年前半はマイル路線で良績を挙げ、昨秋以降は中~中長距離路線で良績を挙げていることを裏付ける血統背景と言えます。
本馬のような幅広い距離適性を持つ馬というのは、形相遺伝背景を調べていると時折見られるものですが、JRAのレース体系が整備されるに伴って育成調教過程も整備され、本来の距離適性を狭めてレースを使われたり、安易な血統解釈が蔓延して馬にとって本来とは異なるカテゴリーを走らされたりしていると感じます。
近代競馬においては、所謂オールラウンダーという言葉は、死語になっていると言えるでしょう。
そのような中で、本馬の今回の勝利は、馬一頭一頭が持つ血統の奥行きを改めて見直す格好の契機になってほしいと願うところです。
現在種牡馬となっているローエングリンは、その血統構成からは2400m程度を最も得意とするタイプなのですが、現役時にはマイル戦を中心に走っていたことは皆さんもご記憶のことでしょう。気性面の影響が大きかった記憶がありますが、このように環境により馬も本来の姿とは違ってしまうものです。
本馬は今回牡馬相手にG1を勝利しましたが、今後は海外を視野に入れているようです。米国遠征や豪州遠征が挙げられているようですが、まずは休養を挟んでじっくり参戦行程を検討してほしいと思います。
動物全般的に環境の変化に強いのはオスよりもメスと言われていますが、海外遠征時には磁場変動の影響をよく考慮して遠征するべきと考えます。
今回の宝塚記念については、「競馬最強の法則7月号」誌に私、MASAによる宝塚記念の早出し展望・見解が2ページに渡って掲載されておりました。
血統ペース的な観点からは、メイショウテッコンが参戦しなかったことから大穴候補が機能しませんでしたが、前回のブログで記事の補足をしておりました「牝馬の活躍」については、的を得ていたものと考えております。
今回の牡馬はサンデー系が8頭、キンカメ系が2頭、その他1頭という血が偏ったメンバー構成でした。
現在の馬の生産状況はサンデー系が圧倒しており、それに次ぐのがキンカメ系でこれを反映しているような構成でした。
これまでもこのブログで度々述べてきましたが、特定の血に偏ってその血が溢れかえっている状況では、その血を父系統に持つ牡馬は古馬になると闘争本能を失ってしまいます。
現在の日本競馬において3冠牝馬アーモンドアイが現役最強馬の称号を欲しいままにしているのは、個体能力の高さは勿論ですが、男どもが揃って不甲斐ない状況がアシストしていると言えます。
今回本馬が勝利したことは、基本的に牡馬と互角に戦える能力があることが前提となっていますが、強い女性が不甲斐ない男どもを一蹴したという構図になるでしょう。
さて私のコンテンツ「重賞分析極秘ファイル」は、平地重賞を対象として、レースの主要な出走馬について血統ペース理論及び中島理論の観点から、どの馬が有力なのか、どの馬が危険なのか、主要馬を中心に診断した上で穴馬を含めて予想する内容のコンテンツです。
先週は宝塚記念を予想評価しましたが、競馬最強の法則誌の内容のとおり、リスグラシューを本命評価、キセキを繰り上げて対抗評価としておりました。
そして、前出のとおり西日本が梅雨入りしていない異例の気候であり、例年の馬場悪化状態ではないことから、最強の法則誌の見解を変更して3番手争いとしてレイデオロとスワーヴリチャードを評価し、4頭立てのレースと診ておりました。読者様の一定のお役に立てたものと考えております。
これで春の中央開催が終了し、いよいよローカル開催へ移って本格的な夏競馬に入りますが、引き続き頑張って分析及び予想していきたいと考えております。
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今日はここまでです。
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