ここでは、新潟2歳Sを振り返ってみたいと思います。
新潟2歳S
1着・ウーマンズハート
父ハーツクライ、形相遺伝として影響が強いのは母と診ています。
ローテ的体力は料的遺伝7.25であり、激走後は中1週程度は必要。
毎年このレースを迎えると夏競馬が終わるという節目に感じますが、同時に2歳重賞戦線が本格化を始めるスタートの時期という印象があります。
このレースからはケイデンスコールやハープスター、イスラボニータといった3歳戦線での活躍馬も輩出していますが、そのような存在は数えるほどしかおらず、基本的に現時点での仕上がり比べ、経験値比べというレースになります。
今年のこのレースを制した本馬は、新馬戦に続いて上り3F32秒台の脚を繰り出して勝利し、メディアではハープスターの再来と言われているようですが、3歳戦線でどのような走りを見せるでしょうか。
本馬の形相遺伝対象と診ている母レディオブパーシャは、その走りをご記憶の方もいらっしゃるかと思いますが、国内で24戦2勝2着5回の成績で、芝ダート問わずスプリント戦のみを走った戦績です。
そしてこのレディオブパーシャを更に調べてみると、母父 Green Desertを形相遺伝対象としていることがわかります。この Green Desertは、英G1ジュライCを制したスプリンターであり、マイル戦では英2000ギニーやセントジェイムズパレスSの2着はありますが、距離がやや長い印象が有った戦績です。
このレディオブパーシャの兄弟背景を診ると、一つ上の半兄には香港チャンピオンスプリンターで日本参戦歴もある Lucky Nineがおり、半弟にはサドンストームや現役馬ティーハーフというゴドルフィンカラーの活躍馬がおり、いずれもスプリンターとしての走りとなっています。
レディオブパーシャの母ビールジャントを起点とする牝系は、Green Desertの遺伝活性値が強大であることから、Green Desert及びその先祖の隔世遺伝のいずれかの影響を受けることとなり、揃ってスプリンターに出ています。
そして本馬ですが、このような形相遺伝背景から診てスプリンターに出そうなものですが、新潟のマイルを2戦2勝しています。
まだ2歳の夏ということで、人間で言えばまだ保育園幼稚園児のようなものです。血統面の表出はこれからであり、現時点での仕上がり比べや経験比べの段階ではありますが、もう少し考察を進めてみます。
走行ベクトルを司る父母及び母父について診ると、父はハーツクライ、母は前出のとおり、そして母父 Shamardalですが、Giant's Causeway~ Storm Cat系統のスピードを活かして仏2000ギニーや仏ダービー逃げ切って2冠達成の戦績があります。
そして、仏ダービー制覇から中9日という強行軍で参戦したセントジェイムズパレスSも逃げ切り勝ちの横綱相撲で勝利し、8戦7勝という戦績を残しています。
本馬の形相遺伝対象である母は、形相遺伝対象が Green Desert、走行ベクトルを司る父に Shamardal、母父に Green Desertという組み合わせでスプリンターに出ましたが、これに対して本馬は、形相遺伝対象が母、走行ベクトルを司る父にハーツクライ、母父に Shamardalと一世代進んで父にハーツクライを迎え、Green Desertが走行ベクトルに与える直接的な影響が遠ざかったことにより、スプリントより距離を伸ばしても対応可能な背景になっていると診ています。
これらの背景から診て、本馬は今後成長に伴って血統面が表出してくると、母系特有のスプリンターと言うよりは、スプリント対応可能なマイラータイプになるのではと診ています。
本馬は今回そして新馬戦でもそうだったのですが、最後の直線で真っ直ぐに走らず内に斜行しています。他馬に併せに行ったものではないと見えますので、これまでブログでも何度か説明してきたサンデー系特有の体質が原因と言えるでしょう。
それから、本馬の配合で気になるのは、Northern Dancerの5×6×5という近親配合を抱えていますが、0遺伝配合や初仔若しくは空胎後の仔といった近親配合リスクを回避する術が施されていないことです。
本馬の母レディオブパーシャは、Northern Dancer5×4、Raise a Native5×5という近親配合を抱えていますが、Raise a Nativeについては0遺伝配合を施してリスクを回避していますが、Northern Dancerについては有数値で弊害が生じており、現役時に気温が上がらない時期にしか走っていないことからも、内蔵面に弊害を抱え、気温が上がる時期は体調が悪く休養するタイプだったと推測できます。
近親配合リスクを回避する術が施されていないような配合の場合、一般的には不受胎や流産死産となることや、生まれてきても血統登録には至らないことが多く、血統登録に至ってレースで走ったとしても、所謂季節馬や走る度に休養を余儀なくされるようなタイプになります。
母レディオブパーシャは、スタッドブックによれば、初仔としてデザートストームを2014年に産むと、2015年は流産、2016年は双子流産と本馬を生む前に2年連続で流産となっています。
この流産は、妊娠初期に生じる場合や後期や末期でも生じる場合がありますが、私の現在の研究テーマの一つに、早期流産の場合は母体の負担が軽いと診て、実質上の空胎として解釈することの可否というものがあります。
ここで仮説を一つ立てれば、この2年連続流産が妊娠早期に生じたとして実質的に空胎の効果を持つとすれば、近親配合の弊害を抱える本馬は、空胎後の仔として回避する術が施されたこととなり、この弊害が生じていないという解釈が可能となります。
実は本馬の活躍は、この観点からも研究題材として絶好であることから、今後の引退までの走りを追いかけたいと考えています。
これまでも度々触れていますが、巷で言われる「奇跡の血量3×4」のような近親配合を抱えている活躍馬は、近親配合の危機を回避する術により生産されていることは言うまでもありません。
さてこのレース、私のメルマガ「重賞分析極秘ファイル」では配信対象としていない2歳G3競争ということで、ウマい馬券にて公開して的中することが出来ました。
的中を重視していることから、同様に公開した函館2歳Sのように高配当となることもあれば、今回のようなトリガミになることもありますが、何卒ご理解をお願いいたします。
その私のコンテンツ「重賞分析極秘ファイル」は、平地重賞を対象として、レースの主要な出走馬について血統ペース理論及び中島理論の観点から、どの馬が有力なのか、どの馬が危険なのか、主要馬を中心に診断した上で穴馬を含めて予想する内容のコンテンツです。
先週はキーンランドCを予想評価しました。
私はナックビーナスを本命評価しておりましたが、これは、想定逃げ馬ライオンボスを行かせて2~3番手から運ぶと読んでいましたが、何と並走して逃げの手に出てしまい、私は中継を見ていて目を覆ってしまいましたが、やはり最後は脚が上がってしまいました。
気が付けばローカル夏競馬も最終週を迎えることになりました。梅雨が長かったせいかアッという間に夏競馬が終わってしまうような印象がありますが、引き続き頑張って分析及び予想していきたいと考えております。
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今日はここまでです。
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