ここでは、高松宮記念を振り返ってみたいと思います。
高松宮記念
1着・モズスーパーフレア
父 Speightstownですが0遺伝化、形相遺伝として影響が強いのは母母の父と診ています。
ローテ的体力は料的遺伝5.75であり、激走後は中2~3週程度は必要。
競馬を楽しんでいると例年であれば「今年の春G1戦線もついに開幕!」というフレーズで陽春を感じ、時候が明るくなる印象がありますが、今年は新型ウイルス感染の影響で無観客競馬が続いており、他の競技催事等と比べて開催があるだけ幸いなのかもしれませんが、とてもそのような心持ちになりません。
JRA創設以降では初の無観客G1となったこのレースですが、それを忘れてしまうほど盛り沢山の内容となりました。
勝った本馬は外枠でしたが楽にハナに立つと、前半3F34.2という楽なペースで運べたことが功を奏し、ハナ差で2位入線となりましたが、繰り上がりで念願のスプリントG1馬となりました。
それにしても、繰り上がり3着馬は、阪急杯で降着処分を受けたばかりであり、繰り上がり2着馬も昨年のNHKマイルCで降着処分を受けているという、引き寄せる見えざる何かがあるのでしょうか・・。
さて、本馬の形相遺伝の対象と診ている母母父 Valid Appealは、米国で2~4歳時に36戦8勝という成績で、重賞はG2ドワイヤーHの勝利があるだけで、G1は2歳時にフューチュリティS3着、4歳時にメトロポリタンH4着が目につく程度の成績で、殆どが一般戦での成績に終わっています。
そこでこの Valid Appealを更に調べると、その父父である Intentionallyを形相遺伝対象にしていると診られます。
この Intentionallyは米国で2~6歳時に34戦18勝の成績があり、2歳時はフューチュリティSを制するなど最も獲得賞金が多かったほどの早熟でしたが、3歳になると米3冠路線は距離が長いということで回避して短距離路線へ進み、ジェロームHやウォーレンライトメモリアルSなどを制し、この年の米最優秀短距離馬に選出されるなど、マイルを含めて短距離での走りが良い内容でした。
これらの形相遺伝背景から診ると、本馬は米国型のマイル対応可能な短距離タイプに見えますが、本馬は逃げ徹底型でマイルは持ちそうに診えません。
走行ベクトルの構成要素である父は0遺伝化していますが、母父の Belong to Meが6Fが限界というスピード豊かなスプリンターだったことで、これが前面に出ている配合であることから距離適性が矯められていると言えます。
本馬の形相遺伝系統である In Reality~ Man o'Warと辿る系統は、三大始祖の一つである Godolphin Arabianの系譜となりますが、現代競馬では父系としては滅多にお目にかかれないほどのレア系統となっています。
しかし、本馬の今回の勝利など、血の奥底ではしっかり生きていることを改めて知らしめており、Byerley Turkの系譜とともに大切にするべき血と考えています。
そして、本馬は昨年2番人気に押されて15着大敗しており、今年も外枠に入ったことと中山以外は走らないのでは、という錯覚が今回の人気低下の要因と診ますが、本馬の走りは特に急坂コースに対する適性が高く、父0遺伝化により母父 Danzig系特有のパワーが前面に出た米国型のパワー型スプリンターと言えます。米国と同じ左回りコースという意味では、中山コースよりも向いていると診ます。
前走シルクロードSや前々走京阪杯、更には4前走北九州記念はパワー型の本馬にとって不向きな京都・小倉コースであり、パワーが空回りする走りに終わっていますが、
本馬の適性が分かっていないことを露呈している起用にも感じます。
では、今年勝利した本馬が昨年何故大敗したのか、昨年のこのレースを振り返り考察した際に触れておりましたので、ここで再掲してみたいと思います。
<以下昨年からの再掲文>
2番人気に押されたモズスーパーフレアについて、古馬になってからの圧巻の逃げ切り勝ちの内容から人気を集めましたが、15着と大敗しました。
この敗因について、陣営からは「調教のやり過ぎ」という珍しく正直なコメントが出ていましたが、通常失敗を認めるコメントは発しないのが常ですから、余程ショックだったのでしょう。
本馬の大敗の原因について、レース展開的にはハナに立つまでにロスがあったことも考えられますが、私は2つの理由があると診ています。
まず1つ目は、陣営の指摘のとおり調教のやり過ぎです。
私は前回のこのブログの中で「料的遺伝の考え方」について示したところですが、本馬の最終追切の前に投稿した記事でしたので、その直後にこのようなことがあって驚きました。
本馬の料的遺伝数値からは、中2~3週のローテ間隔が必要なタイプですが、今回はオーシャンS激走から中2週のローテであり、ギリギリと言えます。
その為、本来はオーシャンS以降は軽めの調整に徹しなければならないところ、陣営は最終追切で坂路の自己ベストタイムを叩き出すという調教を施しました。いくら馬なりだったとは言え、このようなタイムを出せば過酷と言えます。
私が常々このブログで、G1だからと言って陣営の肩に力が入り過酷な調教を課すことは避けるべきと指摘していますが、私の声は届かなかったようです。
そして2つ目は、本馬の体調面です。
私は前々回のこのブログの中で、牝馬は繁殖シーズンに関わらず、発情する期間(いわゆるフケ)とそうではない期間を生理的な規則・リズムに基づいて繰り返すことについて触れていましたが、本馬の生年月日から診てオーシャンS勝利時は大丈夫でしたが、3月中旬から発情する期間に入ったと診られ、これが体調面の敗因と診ています。
牝馬は発情する期間に入ると、その期間中に3回の排卵を小休止の期間を挟みながら迎えるとされており、牝馬の血液は酸性となって走力が衰えることに繋がります。
今回本馬を取材した某氏は、本馬がイライラしていたことをメディアで明かしていましたが、真にこの期間特有の仕草ではないかと感じました。
昔の競馬では、特にクラシック戦線においてレース当日に発情する期間に入ることを避けるため、一部の陣営は排卵誘発剤を使用していたという話があるそうですが、多くの賢明な陣営は繁殖入りしてからの悪影響を案じて使用しなかったとも云われています。それだけ競争能力に影響を与えるこの生理現象は牝馬の宿命であり、昔から牝馬のレースは荒れると格言的に云われ続ける原因でもあります。
本馬の今回の大敗にはこの2つの敗因があると診ており、ということは、仮に調教を軽めにして調整したとしても好走は難しかったことになりますが、それでもやはり陣営が取るべき調整方法は、軽めに徹するべきだったと診ています。
<再掲文ここまで>
上記のように昨年の本馬の敗因を考察しておりましたが、今年の本馬を診ると、ローテ的にはシルクロードS以来ということで料的遺伝の観点からは十分な間隔であり、最終追切では坂路で自己ベストを更新したようですが、この点からは問題ありませんでした。
そして体調面ですが、発情する期間(いわゆるフケ)とそうではない期間を生理的な規則・リズムに基づいて繰り返すことについては、中島理論では毎年同じではなく、隔年で同じサイクルに入るとされています。(詳細は割愛します。)
これを本馬に当てはめると、昨年は3月中旬から発情する期間に入ったということは、今年は3月中旬からそうではない期間に入ったということになります。
勿論、本馬の能力の高さが勝利の主たる要因ですが、これまで診てきたような脚を引っ張る要因が除去されたことも重要な勝因と診ます。
そして、1位入線も4着降着となったクリノガウディーについて、15番人気という低評価を覆して激走を見せましたが、残念ながら大きく内に斜行してしまいました。
この斜行した現象について血統的にどう解釈されますか、という質問を頂いておりましたので、この場でお答えしたいと思います。
陣営からは、左回りでは内にヨレる癖があるという趣旨のコメントを見ましたが、これまでの左回りの走りを診ても、今回のような派手な斜行はありません。
私は今回の斜行の原因は、本馬の最大の弱点である料的遺伝の乏しさにあると診ています。
本馬はローテ的体力である料的遺伝数値が2.50しかなく、本馬の馬柱を単純に眺めても、好走と凡走が交互となっており、本馬の料的遺伝数値からは中8週程度の十分な間隔を取らないと連続激走が出来ないタイプです。
前走の阪急杯は、前々走東京新聞杯3着から中2週というローテで凡走し、今回は激走した東京新聞杯からは中6週というローテでしたが、激走可能な体力回復には中2週程度足りないと診ていました。
そしてG1ということで最終追切も渾身?の調教を施され、体力が充分に戻らない中でのレースとなりましたが、最後の最後に体力が尽きて斜行に至ったと診ています。
それでも、父スクリーンヒーロー産駒ということで、血が溢れ返っているサンデー系牡馬やキンカメ系牡馬よりも闘争本能を有しており、この闘争本能が本馬を限界点を超えてまで走らせたと診ます。
今回は残念な結果となりましたが、ローテーションに十分に配慮すれば、2勝目、3勝目と勝利に結びつく内容と診ます。
それから、今年はゴール前の斜行や有力馬の凡走など盛り沢山でしたが、やはり降着制度について確認の意味で触れましょう。
現行の日本の降着制度をJRAのHPにて確認すると、以下のようにあります。
競走中に斜行・押圧等により他馬の走行を妨害したケースで、裁決委員が以下の通り判断した場合、降着又は失格となります。
「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」と判断した場合、加害馬は被害馬の後ろに降着となります。
「極めて悪質で他の騎手や馬に対する危険な行為によって、競走に重大な支障を生じさせた」と判断した場合、加害馬は失格となります。
そして、Q&Aには・・
「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」と判断する根拠は何ですか?の回答として、
「加害馬・被害馬の着順、着差の他、事象の前後における両馬の走行状況等を総合的に判断しています。」とあります。
2013年に制度変更があり、国際基準カテゴリー1に倣うということで現行の基準となりましたが、簡単に言えば、有事には主催者が恣意的に着順を決定するという基準です。
昨年のケンタッキーダービーでは1位入線馬の17着降着という大きな事象がありましたが、これは米国が国際基準カテゴリー2を採用しているためであり、私は真っ先にメジロマックイーンの天皇賞秋18着降着を思い出してしまいました。
これは、被害馬の走りがどうであれ、加害馬が被害馬の次の着順になるという分かり易いものであり、勧善懲悪の基準と言えます。
(個人的には日本人の倫理観・道徳観等に照らすとこちらが合うように感じます。)
今回の事象は、カテゴリー2の基準であっても同じ着順判定と診ますが、巷の意見では、ダイアトニックが先着できているという判定ならば、1着相当の走りをしていた内容であり、1着に変更なのではないかという指摘があるようです。
しかし、それは制度運用を逸脱する解釈であり、あくまでもこれは降着制度であり、昇着制度ではないという一言に尽きます。
さて私のコンテンツ「重賞分析極秘ファイル」は、平地重賞を対象として、レースの主要な出走馬について血統ペース理論及び中島理論の観点から、どの馬が有力なのか、どの馬が危険なのか、主要馬を中心に診断した上で穴馬を含めて予想する内容のコンテンツです。
先週は、高松宮記念、日経賞、毎日杯そしてマーチSを予想評価しました。
高松宮記念は、思い切って12番人気シヴァージを本命評価、勝ったモズスーパーフレアについては単穴の3番手評価としましたが、本命馬は出負けしてしまい、前が残る展開の中で上がり最速タイの脚を繰り出しましたが、5着と届きませんでした。2着グランアレグリアはヒモ穴評価としておりました。
日経賞は、1番人気ミッキースワローを本命評価とし、2着モズベッロはヒモ穴評価としておりました。
毎日杯は、4番人気ダノンアレーの逃げを想定した上で同馬を本命評価とし、9番人気メイショウラツワンを対抗評価、1~2着馬はヒモ穴評価としておりました。
マーチSは、2番人気ワイルドカードを枠順変更で対抗から本命評価とし、1番人気スワーヴアラミスを本命から対抗評価に変更しておりました。
それから、現在姉妹メルマガとして「重賞分析極秘ファイル・買い目プラス」をレジまぐにて展開しておりますが、こちらはリステッドOP競争まで対象として買い目まで提供しております。
こちらは、前出の4重賞の他に名鉄杯と六甲Sを予想しましたが、日経賞、毎日杯、マーチSは馬連などを、六甲Sでは単複のみで勝負してそれぞれ的中しております。
リステッドOP競争は印と買い目のみとなりますが、良績を継続することができており、的中の実績については、サイトで無料でご確認頂けますので、一度お試しいただけますと幸いに存じます。都合によりブログ内にリンクを貼ることができませんが、レジまぐ内にてご検索願います。
新型肺炎の蔓延は世界中に広がり、そしてその対策と日常ではない対応が求められ、現在も世界が大混乱しています。
そしてついに東京圏や大阪圏では外出自粛が求められ、混沌としております。
このような出口が見えない状況ですが、皆様におかれましては体調管理には十分に留意していただき、競馬を楽しんでいただきたいと思います。
私も体調管理に気を付けながら、引き続き頑張って分析及び予想していきたいと考えております。
メルマガについてはリンクをブログ右側に貼っておりますので、有料となりますがよろしかったらお願いいたします。
今日はここまでです。
(仕事のご依頼はmonaka.sabao.88@gmail.comまでお願い致します)