ここでは、宝塚記念を振り返ってみたいと思います。
宝塚記念
1着・クロノジェネシス
父バゴ、形相遺伝として影響が強いのは母父の母と診ています。
ローテ的体力は料的遺伝3.75であり、激走後は中5週程度は必要。
今年のこのレースは、例年なら海外遠征をしている組が参戦することとなり、G1馬が8頭集うというタイトルの数では豪華メンバーとなりました。
6月下旬に施行時期が移設されたのが2000年ですが、梅雨真っ只中という季節に移行してからは、それまでの堅い決着から一変して荒れる決着が多くなりました。
これはやはり、梅雨時の開催ということで宝塚記念当日が良発表であっても、基本的に馬場が荒れていることが影響していると診ています。
昨年は関西地方が梅雨入りしないという異例の気候の中で行われ、移設以降では2番目の好タイムが出ましたが、今年は当日午後にスコールに見舞われ馬場が悪化し、最後の最後まで今年の春G1戦線は何らかの気象の心配が付き纏いました。
勝った本馬は外枠でしたが、道中は外目中団から徐々に進出と積極的に運び、4コーナー先団からあっさり抜け出すと途中から独走状態となり、終わってみれば2着に6馬身差をつける圧勝劇でした。
本馬の形相遺伝対象である母父の母ブルーアヴェニューは、米国で2~4歳時に20戦5勝という成績があり、プレザントン・セニョリータHというリステッド勝利がありますが、一般戦のダートマイル路線を主に走った成績であり、重賞には出走すら無かった凡庸な内容です。
そこで、更にこのブルーアヴェニューを調べてみますと、その母母の父の母父である Nashuaを形相遺伝対象としていることが分かります。
この Nashuaは米国で2~4歳時に30戦22勝という凄まじい成績を残しており、3歳3冠路線はケンタッキーダービーこそ Swapsの2着でしたが、プリークネスSとベルモントSを快勝、16F戦のジョッキークラブゴールドCを連覇するなど、10F戦以上のカテゴリーで高いパフォーマンスを発揮した戦績です。
これを形相遺伝対象としている本馬の母父の母ブルーアヴェニューは、本質的には距離を延ばして良さが出るタイプだったと診られ、陣営の方針か何らかの理由でマイル戦線を使われましたが、適性とは異なるカテゴリーを使われていたことが凡庸な戦績で終わった背景にあると診ます。
そうなると、間接的に Nashuaに辿り着く形相遺伝背景を持つ本馬の距離適性についても同様になると診ており、今回2200m戦を快勝しましたが、更に距離を延ばしても全く問題なく、本質的にはタイトな流れを好むタイプで気性面が課題となるでしょうが、距離適性的には長距離路線でも好走可能なタイプと診ています。
本馬は所謂ラスティックベル牝系の出身であり、この牝系からは本馬や本馬の半姉ノームコア、フサイチエアデールやフサイチリシャール、ライラプスやアドマイヤエイカンなど多くの活躍馬が輩出されています。
特に本馬の母クロノロジスト~インディスユニゾン~ラスティックベルと繋がるこのボトムラインは、運動神経を司る質的遺伝を良質に継承しており、7~8番仔にしてノームコアと本馬の2頭のG1馬を輩出しましたが、本馬は更に生産時の配合メリットを受けて出生したことで、目下の戦績のとおり能力の高さに繋がっています。
本馬はこのボトムラインの良質の継承に成功していることから、使い詰めせずに程よい戦績で繁殖入りすれば、更に良質の継承ができる繁殖に成れると診ます。
さて、これで春のG1戦線も終了し、3歳路線は牡牝2頭の無敗の2冠馬が誕生するという同時快挙で盛り上がりましたが、古馬路線に目を移すと、牡馬は惨憺たる有様となりました。
牡牝混合G1は高松宮記念、大阪杯、天皇賞春、安田記念そして宝塚記念の5戦がありましたが、天皇賞春のみ牡馬が勝利し、他は全て牝馬が勝利しワンツーフィニッシュも3戦で達成されました。
牡馬が勝利した天皇賞春は牝馬の参戦が1頭であり、しかもG1勝ち負けクラスではなく条件馬の参戦でした。
これではさすがに牝馬に勝ちを譲るというレースレベルには至らず、「サンデーだらけ・キンカメだらけの運動会」と化してフィエールマンの連覇となりましたが、他の4レースはG1勝ち負けレベルの牝馬の参戦があり、高松宮記念は繰上り決着でしたが牝馬が勝利しています。
現在の馬の生産状況は、巨星2頭が亡くなったものの、やはりサンデー系が圧倒しており、それに次ぐのがキンカメ系であり、今回の出走馬構成もこれを反映しているような構成でした。
これまでもこのブログで度々述べてきましたが、特定の血に偏ってその血が溢れかえっている状況では、その血を父系統に持つ牡馬は、成馬になると野生時代からの本能に基づき闘争本能を失ってしまいます。
馬は一般的に、走る・蹴る・噛むというその身に備わった3つの武器を用いて闘争するものですが、競馬はその内、走るという武器に焦点を当てて互いに争わせる人工的な競技であり、それはまた、馬が集団内でボスの座を争う際の闘争本能と習性を利用した競技でもあります。
そして牡馬は、ボスとなって自らの血を遺伝子を残そうとする本能に基づいて、他のライバルと熾烈な戦いをする訳ですから、闘争本能の減退喪失はパフォーマンスの割引、減退に直結してしまいます。
今回も勝利したのは2頭しか出走していない牝馬であり、突き放された2~5着にはキンカメ系とディープ系の牡馬が入りましたが、既に勝ち馬が抜け出した後であり、闘争本能の減退喪失した馬特有の善戦すれど善戦どまりという走りそのものでした。
今から1年前の話ですが、現在休刊となっている「競馬最強の法則誌」に私の理論に基づく宝塚記念の見解が掲載されましたが、その際に私はレースでも勝利したリスグラシューを本命評価とし、その推奨理由について、なぜ宝塚記念は牝馬セン馬が走りやすいのか、前出のような現在の日本の競走馬の現状、そして欧州や豪州でも同様の情勢にあることを述べた上で解説を致しましたが、結果もその指摘どおりにリスグラシューの圧勝でした。
結局今年も牝馬が勝利し、何も変わっていないことが分かった訳ですが、牝馬が日本の古馬競馬を席巻し、古馬牡馬勢が揃って不甲斐ない状況が、強い牝馬をより引き立てているとも言えます。
馬産も当然市場経済原理が働くわけで、父系の血がトレンドとして偏るのは宿命と診ますが、その結末として、牡馬は2~3歳だけ走れば終わりという状況に陥っており、そのような牡馬には、セリ取引の際には本来取説が必要になると思います。
私はこのレース、メルマガ「重賞分析極秘ファイル」の中で、勝った本馬を本命評価としており、ウマい馬券の方では1頭公開ということで本馬を公開しましたが、簡単に言えば、勝つのは牝馬2頭のどちらかという単純シンプルな2択でした。
既に牝馬ワンツーも3戦で見られたことで、このレースもそうなるのかと診られましたが、そこまで単純ではありませんでした。
そのもう一頭の牝馬ラッキーライラックについて、前走G1大阪杯を勝利しており、私もその際は本命評価としておりましたが、今回は3番手評価に落としておりました。その理由は本馬の体調面の不安にありました。
以前にもこのブログの中で、牝馬は繁殖シーズンに関わらず、発情を伴う期間(いわゆるフケ)とそうではない期間を生理的な規則・リズムに基づいて繰り返すことについて触れていましたが、本馬の生年月日から診てみると、本馬は中山記念時は発情を伴う期間に入っており、そして大阪杯時は明けて大丈夫でしたが、5月中旬から再び発情を伴う期間に入ったと診られ、これが体調面の敗因と診ています。
牝馬は発情を伴う期間に入ると、その期間中に3回の排卵を小休止の期間を挟みながら迎えるとされており、牝馬の血液は酸性となって走力が衰えることに繋がります。
もっとも、この所謂フケは個体ごとに症状が重いタイプ軽いタイプがあり、これは人間でも同様ですが、本馬は比較的重いタイプと診ており、今回の勝ち馬は比較的軽いタイプと診ています。
本馬の場合は体調面が整えばG1を勝利する能力の持ち主ですので、今回の敗戦は割り切って秋戦線に臨んでいただきたいと思います。
それから、1番人気に押されて4着に終わったサートゥルナーリアについて、前走金鯱賞を勝利していますが、満年齢でギリギリ3歳であり、相手も軽いメンバー構成でしたが、今回は4歳の誕生日を迎えて古馬初戦となりましたが、伸びずに4着に終わっています。
これはやはり、父ロードカナロアということで、血が溢れ返っているキンカメ系であることが古馬になり闘争本能の減退に繋がり、能力発揮の脚枷になったと診ます。
巷では、レース後になって実は道悪が下手だったという趣旨の場当たり的な結果論だけの安易な解説があるようですが、本馬はその様な形相遺伝背景ではなく、寧ろ逆のタイプです。
今後の路線は分かりませんが、繁殖シーズンやG1シーズン以外の夏競馬や厳寒期の競馬であれば基礎能力の高さで勝利することは可能と診ます。
さて私のコンテンツ「重賞分析極秘ファイル」は、平地重賞を対象として、レースの主要な出走馬について血統ペース理論及び中島理論の観点から、どの馬が有力なのか、どの馬が危険なのか、主要馬を中心に診断した上で穴馬を含めて予想する内容のコンテンツです。
先週は、宝塚記念を予想評価しました。
宝塚記念では、勝った2番人気クロノジェネシスを本命評価、1番人気サートゥルナーリアを対抗評価、3番人気ラッキーライラックを前出の理由により3番手評価としておりました。
ウマい馬券の方では絞った1頭公開ということで、クロノジェネシスを公開しましたが、良い公開だったと考えております。
それから、現在姉妹メルマガとして「重賞分析極秘ファイル・買い目プラス」をレジまぐにて展開しておりますが、こちらはリステッドOP競争まで対象として買い目まで提供しております。
こちらは、宝塚記念のみを予想しましたが、こちらは単勝を厚め勝負で的中することが出来ております。
リステッドOP競争は印と買い目のみとなりますが、通算では良績を継続することができております。
的中の実績については、サイトで無料でご確認頂けますので、一度お試しいただけますと幸いに存じます。都合によりブログ内にリンクを貼ることができませんが、レジまぐ内にてご検索願います。
全国に発出されていた新型ウイルスに伴う緊急事態宣言が全国解除されて以降、日常を取り戻す動きが本格的になっており、制約が有りながらもプロスポーツや各種アミューズメントが再開されています。
梅雨入りして、マスクの着用が鬱陶しい季節となっていますが、気のゆるみが再度の感染拡大にも繋がることから、皆様におかれましては体調管理には十分に留意していただき、競馬を楽しんでいただきたいと思います。
私も体調管理に気を付けながら、引き続き頑張って分析及び予想していきたいと考えております。
メルマガについてはリンクをブログ右側に貼っておりますので、有料となりますがよろしかったらお願いいたします。
今日はここまでです。
(仕事のご依頼はmonaka.sabao.88@gmail.comまでお願い致します)